相模原市の団地に設置されていた蛇口を盗んだとして、少年が逮捕されたとの報道!?
1 報道の概要
今年5月、相模原市の団地に設置されていた蛇口124個を盗んだとして、市内に住む18歳の無職の少年が逮捕されました。
報道によると、少年は、水道の元栓を閉めたうえで蛇口を取り外して持ち去ったとみられ、現場付近の防犯カメラの映像や金属の買い取り業者の捜査などから、少年が関わった疑いがあることが分かったということです。
警察の調べに対し容疑を認め、「お金にするためだった」と供述しているということです。
県内では今年4月以降、厚木市や平塚市などで公園などの蛇口が盗まれる被害が相次いでいて、警察は関連を調べています。
2 窃盗罪の捜査、刑事処分等
窃盗罪は、人の物を盗んだり、勝手に使用することによって成立する犯罪で、法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
窃盗と言っても、比較的軽微なものから悪質なものまで様々です。本件では、被害品も多く、被害額も多額に及ぶと思われますので、悪質といえるでしょう。蛇口の設置場所によっては、住居侵入が付く可能性もあります。また、他でも繰り返していたということで、仮に常習性が認められれば、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律という特別法で処罰されます。この場合の法定刑は、3年以上の懲役です。
ただ、加害者は少年ですから、通常の刑事事件ではなく、少年事件として扱われます。再逮捕が繰り返される可能性もありますが、鑑別所を経由して、最終的に少年審判が行われることになります。動機や家族の監督状況などにもよりますが、少年院送致の可能性が高いでしょう。
3 弁護活動
複数件の犯罪を起こしている場合は、自分の起こしていない事件についても、疑われる可能性があります。まずは、心当たりのない事件について、しっかりと否認する必要があります。
また、通常の刑事事件であれば、被害者がいる場合、被害者との示談交渉が最も重要ですが、本件では少年事件ですので、被害弁償よりも、少年の監護体制、更生への道のりが重要です。まずはご家族や保護者と連絡を取り、今後の監護について見直すとともに、釈放後の職探しなども前もって行います。
要は、少年院に送致せずとも家庭内で更生できるということをいかに示せるかという点が重要になります。
少年事件は、少年の心のケアなど、特に慎重かつ迅速な対応が必要ですので、お困りの方はお早めにご相談ください。
執筆者情報
石崎 冬貴Fuyuki Ishizaki
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士