路上での痴漢で「強制わいせつ罪」? 迷惑行為防止条例や暴行の場合とは何が違う?
1 報道の概要
2021年7月12日午後8時20分ごろ、兵庫県尼崎市の閑静な住宅街の路上で、歩いて帰宅中の女性(29)が痴漢の被害に遭いました。
その女性は、後ろから歩いて近づいてきた男に追い抜きざまに胸をわしづかみにされたということで、強制わいせつ事件として捜査しているとのことです。
なおこの犯人は、身長160センチくらいで、白色のワイシャツに灰色の長ズボン姿だったということで「中学生風の若い男だった」ということです。
2 路上痴漢の案件の罪名?
路上で人に抱きついたりすることを「路上痴漢」といいます。
路上痴漢の事件は、「暴行」「迷惑行為防止条例違反」「強制わいせつ」の3つのいずれかの罪名になることがあります。
暴行が一番軽い刑罰で、次に迷惑行為防止条例違反が重く、一番重いのが強制わいせつになります。
強制わいせつ罪は、罰金刑がなく、正式裁判の上で懲役刑しか選択できないため、罰金刑にできる他の刑罰とは段違いに重いといえます。これらの罪名は、どのように分けられるのでしょうか。周囲の状況によっても異なるところですが、おおまかに解説します。
3 暴行は、背中などに一瞬だけ触ったりする事例
暴行罪として検挙される事例は、触れた時間が短時間で、かつ触れた場所も背中などの性的な部位でないことが多いです。
自転車などに乗って、後ろから触れるという場合は、性的ではない「いたずら」とされることも多いため、「暴行」とされることが多いように思います。
4 迷惑行為防止条例は、お尻や太ももに触る事例
一方、迷惑行為防止条例で検挙されている事例は、お尻や太ももに短時間触る事件、胸に一瞬だけ触れる事件が多いです。
これは、要件に「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法」といえるため、暴行ではなく、より重い「迷惑行為防止条例」で処分されているように思います。
5 強制わいせつ罪は、胸や尻をわしづかみ、揉みしだく事例
また、強制わいせつ罪に振り分けられているのは、胸やお尻をわしづかみにしたり、揉みしだく事例になります。
時間が長いので、それ自体がわいせつ性のある暴行だと考えられるため、強制わいせつに振り分けられています。
6 逮捕の可能性
夜間での路上痴漢案件は、罪名を問わず逮捕されるリスクが高い案件です。それは、地域住民の不安を煽ることが多く、警察も本気で対応をしなければならないからだと思われます。
逮捕を避けるためには、早めに弁護士とともに自首をすることが有効です。
まずは来所の上でご相談ください。
執筆者情報
杉浦 智彦Tomohiko Sugiura
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士