屋外プールの男性用トイレで女児の盗撮をして逮捕!どんな場合に逮捕される?児童ポルノにはならないの?

1 事案の概要

報道によりますと、2021年7月4日午前10時35分ごろ、札幌市北区の屋内プールがある施設の男性用トイレで、10歳未満の小学生の女の子の裸などをスマートフォンで撮影したとのことで、男性が北海道迷惑行為防止条例違反の疑いで現行犯逮捕されました。気づいた家族にその場で逮捕され、通報で駆け付けた警察官に引き渡されたとのことです。

同種事件の取扱い件数が豊富な弁護士が、このような事案で逮捕される場合、成立する罪名について解説をします。

 

2 逮捕される事例は?

最近、(とくに都心部では、)盗撮事例で逮捕される事例は減ってきました。

その理由は、盗撮事件自体が、比較的軽微な犯罪ということもあるのですが、さらに新型コロナウイルス感染症のこともあり、警察の留置施設の上限も制約されているようで、逮捕の件数自体を減らしていることも影響しているように思います。

逮捕されている事例は、①否認している場合、②逃亡している場合、③撮影機材などを破壊するなど証拠を消そうとする行動をとった場合、④一般人によって逮捕された場合の4つに分類されるように思います。

今回は、一般人によって逮捕されたということなので、④の事例だといえるでしょう。

 

3 一般人による逮捕(私人逮捕)とは?

現行犯逮捕の場合は、(一部を除き)警察ではない一般人も容疑者を逮捕することができます。これを「私人逮捕」といいます。一般人は手錠は持っていないでしょうから、通常は羽交い締めにしたりして逃げられないようにすることで逮捕します。

一般人が逮捕した場合は、すみやかに警察官に容疑者の身柄を引き渡す必要があります。現在の警察は、盗撮事件の逮捕に謙抑的ですが、一般人の逮捕の場合は、その影響を受けず、要件が揃えば逮捕されます。

現在の盗撮事件の逮捕案件は、一定の割合でこの私人逮捕が含まれているといえます。

 

4 なぜ児童ポルノにならないのか

一般的には、女児の盗撮事件では、児童ポルノ製造罪が成立することは比較的少ないです。

児童ポルノは、法律では三種類定められていて、①AVのような性交(その類似行為)画像、②性器を触ったり触らせたりするわいせつなもの、③いわゆる「3号ポルノ」と呼ばれるものに分類されます。

3号ポルノとは、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」を言いますが、要するに裸であるだけではなく、性器などが露出されている画像でなければならないのです。

盗撮画像は鮮明であることが少ないため、性器が露出した画像が取れてないことも多く、この3号ポルノに該当しないことも多いように思います。そのため、児童ポルノ製造罪にはならないことが多いといえます。

 

5 私人逮捕されないようにするには?

まずは自主的に逃げないようにすることが大切です。逃げようとして羽交い締めにされて逮捕されるという事例がほとんどなので、逃げずに、事務所に行くように誘導したり、弁護士に連絡をするなどして対応することで、私人逮捕を避けることができるでしょう。

 

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執筆者情報

杉浦 智彦Tomohiko Sugiura

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士