公園のトイレで中学生を盗撮したとして、消防士が逮捕されたとの報道!?
1 報道の概要
公園のトイレで男子中学生を盗撮したとして兵庫県迷惑防止条例違反容疑で兵庫県警に逮捕され、罰金の略式命令を受けた消防署の男性消防士長(28)に対して、消防局が停職1年の懲戒処分としたという事件が報道されました。男性は、昨年11月8日、神戸市内の公園の男性用トイレで、用便中の男子中学生をスマートフォンで撮影したとして兵庫県警須磨署に逮捕されたという経緯があるそうです。
今回は、この事件を題材に、盗撮事件の弁護活動などについて解説します。
2 盗撮に成立する犯罪
盗撮には、盗撮罪という犯罪はありません。盗撮行為は、各県が定める迷惑防止条例違反として取り締まられています。他にも、18歳未満の相手に盗撮してしまった場合は、児童ポルノ禁止法違反になることがあります。また、盗撮目的で公共の施設などに侵入すれば、建造物侵入罪が別途成立する可能性があります。
今回の事件では、男性は男子中学生の用便を撮影していたといいます。その撮影画像は、法律上の「児童ポルノ」では無いと言えそうですが、盗撮であることには変わりません。そのため、男性は兵庫県迷惑防止条例違反で逮捕されたのです。
3 逮捕の可能性など
盗撮は、今回のように、逮捕される可能性があります。盗撮された相手や発見者が現場で気づくことで、現行犯逮捕されることがあります。また、相手が被害届を出すことで捜査が開始され、犯人が特定されることで後日逮捕される可能性もあり得るところです。
4 盗撮事件の弁護活動
逮捕された事件については、すぐに釈放される場合もありますが、勾留という、更に長い身体拘束手続に移行する場合もあります。弁護人は、勾留から依頼者を開放するため、弁護活動を行います。
また、盗撮事件の弁護活動にとって、示談交渉は最重要です。相手の方に謝罪の意思を表し、形とすべく、謝罪金を受け取ってもらいます。「刑事処分を求めない」という内容が入った合意書に署名してもらえないか、弁護人が交渉します。
盗撮事件は、この示談が成功すれば、不起訴になる可能制も十分ある犯罪です。今回のケースでは、男性が罰金の略式命令を受けています。これは、起訴されてしまい、刑罰が科せられてしまったということを意味しています。推測ではありますが、被害者との示談が、何らかの形でうまく行かなかった可能性があります。
5 盗撮事件のリスクを回避するために
今回、男性消防士長は、罰金の略式命令を受けた後に、消防局から1年間の停職という、相当重い懲戒処分を受けています。消防士は地方公務員であり、消防士の長ということにもなれば、社会的に責任ある立場ということができるでしょう。公務員の方の場合、刑事処分の結果が出るまで、勤務先が懲戒処分を留保してくれるという運用をしていることがあります。裏を返せば、刑事処分の結果が、勤務先の処分結果を大きく左右することがあるのです。男性のケースでも、罰金刑になってしまったことが、懲戒処分の重さにつながった可能性があります。不起訴を目指す弁護人の活動がとても重要であることを、改めて強調させて頂きます。
盗撮をされた方は、まだ事件として検挙されていない場合であっても、刑事手続のリスクについて、一度弊所にご相談下さい。
また、弊所にご依頼頂ければ、懲戒処分について、勤務先と別途交渉することも出来ますので、その点も併せてご検討下さい。
執筆者情報
大山 滋郎Jiro Oyama
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士