人気ロックバンドのボーカルが公園に植えたアジサイが、引き抜かれていたことについて、市が被害届を出し、警察が窃盗事件として捜査を始めたとの報道!?
1 報道の概要
人気ロックバンド「ラルクアンシエル」のボーカル「HYDE」さんが和歌山市内の公園に植えたアジサイが、引き抜かれていたことについて、和歌山市が被害届を出し、警察が窃盗事件として捜査を始めました。
アジサイは、去年1月「HYDE」さんが、市長からの依頼で植えたもので、何者かに引き抜かれていました。
2 窃盗罪の捜査、刑事処分等
窃盗罪は、人の物を盗んだり、勝手に使用することによって成立する犯罪で、法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
窃盗と言っても、比較的軽微なものから悪質なものまで様々です。お店の商品などと比べると「花」の価値については判断が難しいところもありますが、およそ価値がないものでない限り、花一輪でも価値がある以上、窃盗罪は成立します。また、今回であれば、「HYDE」さんが植えた花ということで、客観的な価値も高いと判断される可能性もあります。ただ、誰にとっても高額な物ではありませんから、初犯であれば、罰金の可能性が高いでしょう。
今回は、アジサイが誰の所有物か判然としない部分がありますが、市内の公園ということで、公園を管理している市が、アジサイも管理しているという理由で、市が被害届を出したものと思われます。
3 弁護活動
窃盗の場合、被害者がいることが前提になりますので、まずはその被害者との間での示談交渉が最優先になります。
ただ、今回は市という地方公共団体が被害者ですし、「HYDE」さんが植えたものと認識して取った可能性が高く、悪質です。したがって、市が示談に応じる可能性は低いと思います。なぜこのようなことをしたのか、反省の態度や、社会的制裁を受けていればその内容などを報告すると共に、贖罪寄付を行うなど、代替手段を考えることになります。身柄拘束までは考えにくいでしょう。
窃盗罪でお困りの方はお早めにご相談ください。
執筆者情報
石崎 冬貴Fuyuki Ishizaki
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士