コンビニ店外のコンセントを無断で使用したとして、建造物侵入及び窃盗の容疑で男が逮捕されたとの報道!?

1 コンビニの電気を使い炊飯をしていた男が逮捕

コンビニ店外のコンセントに無断で炊飯器をつないで米を炊くなどしたことで、職業不明の男性が、建造物侵入及び窃盗の容疑で逮捕されました。男性は、コンビニの敷地内に侵入し、コンビニ店外にあるコンセントに炊飯器とIH調理器を接続した上で、約30分にわたって米を炊き、焼きそばを調理したとのことです。

店員の通報によって事件が発覚し、初め男性は、軽自動車内に立てこもり、そののち車で逃走したのですが、最終的に逮捕されました。

今回は、この事件を題材に、電気を盗んでしまったときの弁護活動について解説します。

 

2 電気を盗むとはどういうことなのか

最近では、空港や大きなターミナル、喫茶店のカウンターなどに、コンセントが付いていて、自由に携帯電話などを充電することができるようになっていますね。このような場所で、携帯電話やパソコンを充電する分には、問題は起きません。

では、無償で電気を提供しているわけでは無い場所、喫茶店の部屋の隅にあるコンセントや、今回のように、屋外から差し込みできるコンセントから電気を拝借して充電することに、問題はないのでしょうか。

 このような場合は、電気を盗んだことになってしまい、窃盗罪が成立します。電気は宝石や現金と違い、形がはっきりとはしませんが、無断で他人の引いている電気を使ってしまうと、窃盗になってしまうことが、刑法で定められています。充電がダメなのですから、調理のために電気を使うのも、犯罪になってしまいます。

今回の男性は、コンビニという被害者が契約して引いている電気をまさに無断で使ってしまったという内容で、窃盗の容疑をかけられているのです。また、無断で電気を使って炊飯などをするためにコンビニ敷地内に侵入したとして、建造物侵入罪の容疑もかけられています。

 

3 電気窃盗は逮捕される?処罰はどうなるのか?

電気を盗むと、その被害額は、電気料をベースに計算されます。そうすると、被害額は、他の被害品と比べると、そこまで高くならないのが実情です。ですから、仮に電気窃盗が発覚しても、逮捕されることは多くありません。

 しかし、今回のように、被害者が通報をしたり、被疑者が任意同行を拒んだりすると、現行犯逮捕される可能性は十分あります。また、被害額が多くないことから、電気窃盗は、微罪処分(処罰なし)や罰金となることが多いでしょう。しかし、過去には、公判請求によって、懲役判決(執行猶予付き)がされたケースもあります。例えば、自分の家の電気を止められた人がアパートの共用スペースから電気を引いていた人について、被害額が2円50銭であったにもかかわらず、懲役1年執行猶予3年となったケースもあります。

 

4 電気窃盗事件の弁護活動

今回のように、被疑者が逮捕されたら、弁護人としましてはご家族などの依頼を受けて、被疑者の早期身体解放に尽力します。

その上で、なるべく電気窃盗に不利な刑罰が科せられないように、弁護活動をしていきます。今回のように、被害者が民間の方であれば、示談交渉により、被害弁償と謝罪金を受け取ってもらい、許してもらうよう交渉します。うまく行けば、不起訴処分となり前科が付くことはありません。

 一方で、盗んだ電気が公共機関や国の財産である場合は、いわゆる示談交渉を行うのは難しくなってきます。少しテクニカルな話にはなりますが、示談云々よりも、警察段階で素直に事実を認め反省を態度にすることで、微罪処分での検察不送致になることを期待するというのも、電気窃盗にはありうることです。その際、弁護士を付けて、弁護士に事実をまとめてもらい報告してもらえば、警察にはより誠意が伝わることでしょう。

 

5 「電気のトラブル」がありましたら弊所にご相談下さい

最近は、電気を無償で使わせて充電させてくれる場所があるばかりに、なんとなく良いかもしれない、と思って、他人のコンセントを使ってしまい、それがばれてしまったということも、有るのではないでしょうか。

少し話は広がりますが、公園の水や、他人のガスなども、勝手に盗んだりすると犯罪になります。ついうっかり、というところでトラブルに会われた方は、是非弊所にご相談下さい。

 

執筆者・原田 大士の写真

執筆者情報

原田 大士Daishi Harada

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士