盗撮繰り返した石垣市の元職員、市のパソコンから女性の住所を入手との報道
1 報道の概要
盗撮目的で他人の敷地に侵入したなどとして逮捕・起訴された元石垣市職員の被告(27)が、犯行に及んだ女性の一部の住所を、市が保有・管理する個人情報から不正に入手していたことが分かった。目を付けた女性の住所を市役所の情報端末で調べて犯行を繰り返しており、起訴された盗撮6件のうち2件で情報端末が使用された。
以上の事案をもとに、法的に問題となる点を解説します。
2 盗撮事件での逮捕・起訴
盗撮事件の場合、エスカレーターなどで、スマホによる盗撮ならば、逮捕される可能性は低いです。また処罰としても、略式裁判で罰金刑となるのが通常です。本件の盗撮事件は、逮捕された上に、起訴されて正式裁判を受けることになっています。これだけ重い処分がなされているのは、次の2点が原因だと思われます。
① 他人の住居に入って盗撮していること。
② 役所の情報を、盗撮のために不正利用していること。
3 多数の盗撮事件の起訴
盗撮の場合、たとえ多数の盗撮がなされていても、1件についてのみ処罰されるのが通常です。例えば、スマホに多数の盗撮写真が見つかったとしても、被害者を特定することはかなり難しいです。そこで、仮に被害者の顔まで写っていたとしても、被害者を特定して、立件することまでは行わないのが通常です。
しかし、本件のような、住居侵入と役所情報の不正使用による盗撮という重要案件の場合は、警察が本気を出して捜査すれば、余罪の立証も行うことができるということです。
4 情報の不正使用は犯罪ではないのか?
本件では、役所の情報を不正に使用した点も大きな問題と言えます。ただ、それ自体は、犯罪行為として処罰されていません。刑事法で、具体的に処罰が法定されていない以上、処罰できないという罪刑法定主義の帰結と言えます。しかしながら、このような重大な不正行為をもとに盗撮などの犯罪が行われた場合には、盗撮の処罰に関する情状として、非常に強く考慮されることになります。
5 本件の弁護活動
本件では、被害者のいる犯罪なので、まずは示談交渉が大切になります。ただ、6人もの被害者がいるとなると、全員と示談を行うのはかなり難しく、弁護士の腕の見せ所となります。さらには、今後の再犯防止の措置として、治療のための入院措置などを取ることも必要となってきます。
6 盗撮事件を起こした方は、すぐにご相談ください
弊所では、多数の盗撮事案の弁護活動を行ってまいりました。
被害者との示談交渉、治療としての入院、親族との連絡、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートをさせていただきます。
執筆者情報
大山 滋郎Jiro Oyama
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士