逃げる盗撮犯が、殺人未遂で逮捕されたとの報道!?
1 報道の概要
女性の入浴姿を盗撮し、見つかった犯人が車で逃げようとして、立ちふさがった人をボンネットに乗せたまま車を走らせ殺害しようとしたとして、男が現行犯逮捕されたとのこと。
被害者は足に軽いけがをしたにとどまる一方、容疑者の男は「人を車で轢いたことは間違いないが、殺意はなかった」と供述しているとのことです。
この報道から、法的にポイントとなる点を説明していきます。
2 盗撮犯が逃げるときに、別の罪を犯すことはよくあるのか?
これは比較的よくあります。当事務所でも多くの案件に対応してまいりました。万引き犯が、捕まりそうになって、警備員を突き飛ばした場合や、痴漢が逃げるときに、被害者の手を強く振りほどいた場合などがあげられます。
ただ、今回のように、殺人未遂と言われるような事態まで発展することはまれです。
本件では、車で逃げようと必死ではあったにしても、積極的に相手を殺すつもりはなかったはずです。そのような場合でも、そもそも殺人未遂は成立するのでしょうか?
3 本件で、殺意があったといえるのか?
殺人未遂が成立するためには、犯人に殺意があったことが必要です。本件の場合、積極的に殺そうという殺意があったとは言えません。しかし、死んでしまうかもしれないという認識がありながら、車を発進させているなら、それで十分に殺意ありということになります。
もっとも、本件では夢中で逃げようとしていただけであり、「死んでしまうかもしれない」などと考える間もなかった可能性も十分あります。さらには、「これくらいなら、けがはしても死ぬことはありえない」と確信して車を動かしていた可能性もあり得ます。
本件の殺人未遂については、争う余地がありそうです。
4 どの様な弁護活動が有効か?
本件では、やはり殺意がなかったことについて、しっかりとした主張を行う必要があります。それに加えて、殺人未遂の被害者と、盗撮事件の被害者の双方と、しっかりと示談をする必要もあります。さらに、被害者たちに今後脅威を与えないための方策(引っ越しを含む)、場合によっては治療行為なども、弁護活動として必要になってきます。
5 盗撮後、逃走中に傷害等で逮捕されてしまったという方は、すぐにご相談ください
弊所では、これまでも、盗撮、窃盗、痴漢等の事件後、逃走中に他者に傷害を与えたような事件についても、非常に多くの弁護活動を行ってまいりました。
自首の同行、被害者との示談交渉、贖罪寄付、再犯防止のための措置、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートをさせていただきます。
執筆者情報
大山 滋郎Jiro Oyama
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士