電車内でトラブル? 暴行した男が逮捕されたとの報道

1 報道の概要

JR駅構内で、男性会社員の頭髪をつかんで振り回し、両手で首を絞めるなどの暴行を加え、軽傷を負わせた疑いで、自称無職の男を現行犯逮捕したとの警察発表があった。2人は電車内でトラブルになり、同駅で下車。男性が逃走しようとした容疑者を取り押さえる際、暴行を受けたという。なお、男は容疑を否認しているとのこと。

以上の事件をもとに、問題になりそうな諸点を解説します。

 

2 「自称無職」とは何なのか?

本事件を読んで多くの方が、「自称無職」って何だろうと思ったはずです。これは、警察がそのように発表しているので、マスコミをその通りに報道しています。

警察に逮捕等された場合、自分の身分が分かると、会社を解雇されたりと大きな不利益を負うことになります。そこで、逮捕されたときには、自分の職業を隠して、「無職」「自営業」などと話す被疑者もいます。つまり、「無職」について、裏が取れていない状況というわけです。

そのような可能性も見据えて、警察が「自称無職」と発表したものと思われます。

 

3 無職だと警察の扱いは違うのか?

本件は、電車内での喧嘩から生じた事件のようです。それなのに、一方が「逃げた」ことになっているのみならず、被害者だけが「正義の味方」のような書き方をされています。これは、「無職」の人に対する偏見があるのではと思えてしまいます。

確かに、警察の扱いなど、服装や職業で差別があるのではと感じるケースは多々あります。一時「上級国民」といった言葉がはやりましたが、「下級国民」と見える人に対する警察の扱いが厳しいことは、否定できないように思えます。

 

4 「喧嘩両成敗」ではないのか?

喧嘩によりどちらかが怪我などした場合でも、「喧嘩両成敗」ということで、逮捕等されない場合が多いです。特に今回のように、相手方が「軽傷」にとどまる場合は、お互いに説教をされて釈放される場合がほとんどです。(一方が大けがをした場合は、さすがに喧嘩の場合でも、加害者は逮捕されます。)

本件で、喧嘩両成敗が適用されなかった背景には、何か書かれていない理由があったのかもしれません。

 

5 弁護活動の内容

今回のような事件では、本当に喧嘩による事案なら、弁護活動の一環として、相手方に対しても刑事告訴をすることもあり得ます。それにより、お互いに五分の立場として、示談交渉等が可能になるからです。喧嘩とはいいながら、当方が一方的に暴力をふるっていたような場合なら、やはり被害者に謝罪し、十分な賠償をして、示談する必要があります。

特に、逮捕勾留されているような場合には、早急な対応が必要になります。示談により、早期釈放が期待できるからです。

 

6 暴行傷害罪にあたる方行為をしてしまったという方は、すぐにご相談ください

弊所では、暴行罪、傷害罪などの暴力の事件の弁護活動を行ってまいりました。 

自首の同行、被害者との示談交渉、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートをさせていただきます。

 

執筆者・大山 滋郎の写真

執筆者情報

大山 滋郎Jiro Oyama

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士