男性脱衣所へ盗撮目的で侵入した容疑で男性が逮捕!
1 報道の概要
北海道の天然温泉施設の男性脱衣所に、盗撮目的で男性脱衣所に侵入したとして、49歳の男が建造物侵入の現行犯で逮捕されたとの報道がありました。
警察によりますと、男は腕時計型の動画撮影用カメラで、成人男性の裸を撮影していたとのことです。動きが不審なことから、別の男性客が盗撮行為に気が付き、男を取り押さえました。
この報道から、盗撮と建造物侵入の罪について、ポイントとなる点を説明していきます。
2 男性の裸の盗撮
盗撮犯として問題となるのは、通常は女性に対する盗撮です。当事務所でも非常に多くの盗撮事件の弁護活動を行ってまいりましたが、男性に対する盗撮は、これまで1回も扱ってきませんでした。(男児に対する盗撮事件はありました。)
しかし、盗撮の処罰が規定されている迷惑行為防止条例では、特に男女の違いは問題とされていません。周りの人を不安に思わせるような態様での撮影は、「盗撮」として処罰されます。今回の、男性更衣室での撮影も、処罰される盗撮といえるでしょう。
3 建造物侵入となるのか?
しかし、今回の事案では、犯人は建造物侵入罪として逮捕されたと報道されています。もちろん、温泉施設にチケットを購入せずに忍び込んだのならば、建造物侵入罪とされるのも当然です。さらに言えば、男性が、立ち入りを禁止されている女性の更衣室に入った場合も、不法し入として処罰されるのもよく分かります。ところが、本件では、チケットを購入し、入ることが許されている男性更衣室に入っただけです。このような場合にも、建造物侵入罪が成立するのかが問題となります。
通常は、例えば万引きの目的を隠して、お店に侵入したような場合でも、建造物侵入罪は成立しません。それと同じように、内心盗撮するつもりで更衣室に入っても、侵入罪とはならないのが通常です。今回の、建造物侵入罪を理由とする逮捕には、何か報道されていない事情があったのかもしれません。
4 カメラを設置した場合との違い
更衣室に、カメラを設置して盗撮するような犯罪も、非常に多くあります。こちらは、他の人にカメラが発見されて、犯罪行為が露見する場合が多いです。カメラを回収しに来た時などに、逮捕されます。更には、回収されたカメラに、犯人の映像が映っており、そこから犯人逮捕につながるような事例もあります。
カメラを設置しての盗撮も、自分で行う盗撮も、いずれも悪質さという点では甲乙つけがたいところがあります。現在、いずれについても、迷惑行為防止条例、軽犯罪法、住居侵入罪などで処罰されています。
5 盗撮行為をしてしまったという方は、すぐにご相談ください
弊所では、これまでも、自分で盗撮する場合、カメラを設置する場合を問わず、非常に多くの盗撮事件に関して弁護活動を行ってまいりました。
自首の同行、被害者との示談交渉、贖罪寄付、再犯防止のための措置、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートをさせていただきます。
執筆者情報
大山 滋郎Jiro Oyama
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士