コロナ後の満員電車で痴漢!
逮捕の可能性は? 罪名は? 刑罰はどうなるの?

1 報道の概要

令和2年6月10日、埼玉県の浦和署と鉄道警察隊は、JR高崎線上り列車内で、女性の体を触るなどした疑いで、埼玉県迷惑防止条例違反などの疑いで、会社員の男を逮捕しました。(その後、罪名が迷惑行為防止条例から強制わいせつに切り替えられています。)

発覚の経緯は、報道によれば、6月9日に被害女性が鉄道警察隊に被害を相談しており、同月10日に警察官が電車に同乗して犯行現場を確認したとのことです。それを犯人に伝えたところ、逃走はしたものの、結局現行犯逮捕されたとのことです。

最近、満員電車も増えてきて、痴漢事件も増加しています。痴漢事件について、かんたんに解説をいたします。

 

2 逃げたり否認したりすると、逮捕される?

痴漢事件の逮捕率ですが、初犯で自白しているような場合は、8割程度は逮捕されず、2割程度が逮捕されているように思います。

しかしながら、現場から逃走しようとしたり、第三者が目撃しているのに否認しているような案件では、初犯でも逮捕されることが多いです。再犯の場合は、自白していても逮捕されることが多いです。

だからといって、やっていないのに自白するということは、ぜったいに避けるべきです。そもそも、やっていないのに自白すると話もチグハグになりますし、また、早い段階の自白は、捜査機関だけでなく裁判官も信用することがあります。不安になったとしても、信念をもって対応してください。

 

3 強制わいせつ罪になることもある? 罰金刑で済まない?

上記の事件では、強制わいせつ罪の容疑で捜査が進められています。痴漢事件は、案件の悪質さによって、迷惑行為防止条例違反となることも、強制わいせつとなることもあります

よく「下着を触ったら条例違反、下着の中まで触ったら強制わいせつ」なんていうことが言われますが、やや不正確です。下着の上から触っても、執拗に触った場合は強制わいせつとなります。

迷惑行為防止条例違反の場合は、初犯だと略式裁判の上で罰金刑になることが多いです。しかしながら、強制わいせつは、罰金刑はなく、処罰される場合は、正式裁判のうえで懲役刑となります。

そのため、強制わいせつに該当する痴漢事件は、弁護士による適切な対応をしないと、懲役刑になってしまうのです。

 

4 痴漢事件の捜査のポイント

痴漢事件の捜査は、容疑者、被害者、目撃者の供述のほか、科学的な証拠が使われます。具体的には、容疑者の指についた繊維の採取(被害者の下着の繊維が出てこないか確認)、指紋の採取(被害者を触っているか、どのくらい触っているかの確認)、衣服や体についたDNAの検査(衣服や下着、身体に容疑者のDNAが残っていないか)などです。

通常は下着に手が触れることは考えにくいので、これらの科学的根拠があるかどうかが、有罪になるかの決め手になることも多いです。

また、痴漢モノのアダルトビデオや、痴漢サイトの閲覧履歴等も証拠として集められることも多いです。

 

5 弁護活動

痴漢事件の弁護活動は、被害者との示談に尽きます。また、逮捕勾留されている場合は、早期釈放のため裁判官・検察官と交渉することも重要になります。

痴漢事件は、条例違反も強制わいせつも、被害者と起訴前に示談できれば、基本的には不起訴となります。

当事務所は、これまで多数の痴漢事件を取り扱ってきました。多くの示談も成功させてきております。示談交渉のノウハウも十分にあるといえるでしょう。

また、身柄拘束されている事件では、当事務所は、自白だけではなく、否認しているような事件でも早期の釈放を実現させてきました。検察官・裁判官が望むであろうことを先回りしてご家族の方に準備していただき、その成果をもって交渉をすることで、早期の釈放を実現できています。早期の釈放は、早期の社会復帰につながります

逮捕されている事件でも、逮捕されていない事件でも、また認めている場合でも否認している場合でも、当事務所はあなたの味方になって活動していきます

ご不安な方、ご家族の方、まずはご相談ください。

 

この記事は、横浜パートナー法律事務所の弁護士が令和2年6月17日現在の知識・経験をもとに執筆しています。

 

執筆者・杉浦 智彦の写真

執筆者情報

杉浦 智彦Tomohiko Sugiura

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士