暴行傷害事件の罪状と刑罰
ケンカや口論の末に暴力をふるってしまった場合、相手に怪我をさせた場合は傷害罪、怪我をさせなかった場合にも暴行罪に問われることになります。また、他人を脅したり威嚇したりする場合は、脅迫罪が成立します。
傷害罪は15年以下の懲役または50万円以下の罰金、暴行罪は2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料、脅迫罪は2年以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。
事件発覚から弁護活動までの流れ
01.面会と事実関係の確認
傷害罪の弁護活動は、早急にご本人と面会をさせていただき、事実関係や傷害に至る経緯を明確にすることからはじまります。さらに検察官などの捜査機関にも面会を行い、捜査機関側の把握している「事実」を掴みます。この両者の事実を比較検討して、弁護活動の方針を固めます。
原則として早期の示談が必要不可欠ですが、不当に高額な治療費を請求されるケースもみられます。被害者の認識や怪我の程度などを吟味し、適切な示談ができるよう誠意をもって対応することが大切です。
02.早急な対応により示談、不起訴を目指す
暴行・傷害・脅迫などの事件を起こした場合でも、不起訴処分となる場合があります。代表的なものは、相手に振るった暴行が正当防衛にあたると判断された場合です。治療費や慰謝料などを支払い、示談を成立させて被害届を取り下げてもらえた場合には、不起訴処分になる可能性があります。
被害届の取り下げや被害弁償ができるか否かは、検察官が起訴すべきか否かを判断する重要な要素の一つです。被害者との速やかな示談交渉が、暴行傷害事件の弁護活動には求められます。
03.無実を主張する場合も弁護士へご相談を
暴行や脅迫が事実ではない場合や正当防衛である場合は、弁護士を通じて無実を主張し、無罪判決を勝ち取らなければなりません。しかし暴行傷害事件では、逮捕された加害者と被害者の言い分が異なっていることがしばしばあります。
被害者の供述の信用性に問題があったり、暴行の事実に争いがある場合には、現場を目撃していた第三者の供述を確認するなどして、裁判所に主張していくことが重要です。当事務所では、それぞれの事案に即して、自首、示談交渉、早期の身柄の解放や勤務先への対応など必要な弁護活動を行います。まずは弁護士にご相談ください。
加害者・依頼者がとるべき行動
01.傷害の程度により、逮捕の可能性が
通常、暴行のみの場合は逮捕される可能性は低いといえます。傷害事件でも軽微なケガを負わせた程度では、逮捕まではいかないことが多いでしょう。しかし怪我の程度が重いときには、逮捕の可能性が高くなります。
ひとたび逮捕され拘留されると会社に知られるリスクは高くなりますし、新聞などのメディアで報道される恐れも高まります。早急に示談にむけた弁護活動を行うことで、身柄拘束からの解放を目指すことが重要です。
02.被害者との早急な示談による身柄の解放
逮捕勾留された場合は、できるだけ早く被害者との示談を進める必要があります。多くの場合、示談が成立すれば検察官も勾留をやめてくれます。
ただし被害者側も怪我をした直後は感情的になっていますので、なかなか示談には応じてくれません。検察官を通して説得を試みたり被疑者に家族の声を伝えたりと、弁護士が誠意を持った対応を行うことで少しでも早い示談を目指します。
03.泥酔の上の暴行の場合は、禁酒などの措置
泥酔して暴力を振るう人は、相当数います。かつては警察・検察も、お酒の上での犯罪には甘いようなところがありましたが、現在では大変厳しくなっています。特にお酒の失敗を繰り返している人に対しては、捜査機関も厳しい対応をします。
弁護活動の一環として、禁酒をしてもらうことは必須です。少なくとも事件が終わるまでは、禁酒をしてもらいます。それが反省の具体的な表れであり、被害者への誠意でもあるのです。
04.喧嘩の場合は話し合いでの解決を
喧嘩の場合は、両者ともに傷害罪とされる可能性が高いです。どちらかが一方的に殴られているような場合、そもそも警察は「喧嘩」とは認識しません。一方がはるかに重い傷害を負ったような場合は別ですが、似たような怪我を負っている場合は、お互いに許し合うことで刑事事件を回避できます。そうでないと、双方とも罰金を支払うといったことになりかねません。
当事者間で話し合うと、感情のもつれから再び喧嘩に発展することもありえます。そのような事態を避けるためにも、弁護士のような第三者が入って、話し合いのうえで解決を目指すのが望ましいと言えるでしょう。
暴行傷害事件の弁護費用
初犯で身柄を
拘束されていない場合
追加請求一切なし
着手金 11万円 + 報酬金 44万円(税込)
暴行傷害事件の解決事例
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暴行傷害事件のよくある質問
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Q 示談することによる執行猶予は期待できる?傷害罪は、非常に量刑の幅の広い犯罪です。ほとんど、殺人罪に近い傷害罪もあれば、比較的軽微な暴行罪に近い傷害罪もあります。そのため、一概に、見通しを述べることが難しい犯罪類型ですが、やはり示談できるかどうかは大きいです。
軽微な事案であれば、示談できれば不起訴を見込むこともできますし、重大な案件であっても、示談することで執行猶予を獲得できる可能性は非常に高まるといえるでしょう。 -
Q 慰謝料や治療費の相場は?傷害罪は、怪我の程度が非常に幅の広い犯罪なので、他の犯罪よりも示談相場について説明しづらい類型です。
たとえば、傷害といっても1~2週間程度で完治するのか、1ヶ月は入院しないといけないのか、失明など完治しない犯罪なのか、それぞれ、示談金の相場は大きく変わってきます。
そのため、事案ごとの特徴を踏まえて、専門家と相談の上、示談交渉する必要のある犯罪といえるでしょう。 -
Q 泥酔しており、当時の状況が分からない。居酒屋での喧嘩や、飲んだ後にタクシーで帰る際にタクシー運転手とのトラブルで、このご相談が多いです。
基本的には、思い出せることを正直に話してもらう他ありません。
ただ、記憶が曖昧な場合には、その際に集まった客観的な証拠と照らして、自然な合理的な話をするのが、最もメリットが高いように思います。
このように、曖昧な供述だと、どう話せば良いのか分からないでしょうから、弁護士と共に状況を踏まえて対応する必要があると言えるでしょう。 -
Q 勾留されてしまっている。早期の釈放をめざしたい。傷害事件の場合、身柄拘束にまで及ぶことも多いです。
これは、身柄を拘束しないと、引き続き、被害者に危害を加えるおそれがあると、捜査機関に判断されやすいためです。
ただ、見ず知らずの人との喧嘩などであれば、その時にはカッとしていても冷静になれば、その人の家まで押し掛けて危害を加えることは考えづらいでしょう。
そのため、弁護士が適切な弁護活動をすれば、身柄解放できる案件も多いです。他方で、相手の居所などを把握しているDV案件などでは、身柄解放は、かなり難しいといえるでしょう。 -
Q トラブルになった相手を逃げないように押さえただけなのに、こちらが暴行したと警察に見なされてしまいました。
どうすればよいでしょうか?このような問題は、実務では比較的よく生じます。
個々の事案ごとに、目撃証言などを考えて、対応することになります。
ただ、逃げないように取り押さえたにしても、結果的にやり過ぎと判断されることはよくあるので、注意が必要です。 -
Q 被害者が謝罪や示談金の交渉を受けてくれません。
何かできることはないでしょうか?少なくとも、賠償金は受け取ってもらうようにします。それだけでも処分は相当違ってきます。
また贖罪寄付ということで、慈善団体などに反省の気持ちでお金を寄付することも有効です。
いずれにしても、個別ケースごとに、弁護士が担当検察官と話す中で、一番良い弁護方法を考えていきます。 -
Q 軽く突き飛ばしただけなのに、相手がヘルニアということで、重症になりました。
このようなときでも、重い刑事責任が問われるのでしょうか?相手方に暴力をふるったことが確かなら、それと因果関係のある結果についても基本的に責任を問われます。
相手の既往症など、情状事由としては判断されますが、それだけで処罰をまぬかれることはできません。 -
Q 会社へバレずに事件を終わらせることはできるのでしょうか?逮捕勾留されない場合は、基本的に会社に情報はいきません。(会社の同僚などへの暴行事件の場合はもちろんダメです。)
前科が付くと、海外赴任でパスポートを取るときなどに会社にバレることがあります。
会社にどうしてもバレたくないなら、起訴猶予処分とする必要があります。 -
Q 自分の財布を盗もうとした人がいたので、殴ってしまいました。
こういう場合でも、暴行罪や傷害罪になるのでしょうか?相手が殴ってきたときの正当防衛というならともかく、相手が窃盗をしたというだけでは、殴ることが正当化されません。
ただ、比較的軽い暴行程度なら、事実上窃盗の点を考慮してもらい、軽い処分となることはあり得ます。
弁護士からのメッセージ
弁護士からのメッセージ
暴行傷害事件は、ちょっとした諍い、喧嘩などから犯罪につながる場合が多いといえます。特に傷害の程度が重い場合には、後から大変な犯罪をしてしまったと気がつくことになります。
当事務所では、依頼者の立場に寄り添い、出来る限りの親身な弁護活動を行ってまいります。事件の当事者となってしまった方も、ぜひ安心してご相談ください。