盗撮事件の解決事例一覧
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再度の犯行であるものの、早期釈放を実現し、示談によって不起訴となった事例
- 罪名:迷惑行為防止条例違反(盗撮)
- 最終処分:不起訴
- 依頼者:母
- 解決までの期間:約1ヶ月
01.事件発覚からご依頼まで
突然、弁護士の携帯電話に、数年前に盗撮で依頼があった方のお母様からの着信がありました。お母様は、前回の盗撮の事件のときに伝えていた弁護士の携帯電話の番号を「もしものとき」のため、きちんと電話帳で保管していたそうです。それで電話をくださったようです。
慌ててかけ直してみると、息子さんがお風呂場の盗撮をし、現場から逃げたものの、警察まで自首をし、逮捕されたということでした。
息子さんは、過去の事件からやっと立ち直って、就職もできた矢先ということでした。お母様から早期釈放、不起訴を目指すために、当事務所に依頼がありました。02.弁護活動の流れ
この方には盗撮の前科がありました。前科がある中での再犯は、一般的に身柄拘束が続くことが多いです。
しかしながら、今回は、自ら自首をした経緯がありました。
弁護士は、自首をしたことや、ご家族の監督が期待できることを主張して、身柄の釈放活動を行い、無事、翌日に釈放してもらうことができました。
その後、被害者のご家族に対して、弁護士から謝罪をし、本人が自首をしたということも相まって、示談をしてもらうことができました。
これらの弁護活動によって、前科があったにもかかわらず、早期釈放・不起訴という最善の結果が獲得できました。03.弁護士からのコメント
一般的には、再犯の場合は、身柄釈放も難しくなりますし、刑罰も重くなります。
そのなかで、この事件は、自ら自首をしたこともあって、釈放が認められ、示談もできたといえます。
再犯をしてしまったとしても、あきらめず、弁護士に早めに相談をしてもらうことで、最善の結果が得られた一つの事例だといえるでしょう。 -
被害者の家族が納得するまで話合い、示談をした事例
- 罪名:神奈川県迷惑行為防止条例違反(盗撮)
- 最終処分:不起訴
- 依頼者:本人
- 解決までの期間:3か月半
01.事件発覚からご依頼まで
「とにかく被害者の方に謝罪をしたい。」そう言って自分の犯した盗撮事件について相談をしてきたのは、30前後の元会社員の男性でした。男性は、ある日スーパーマーケットで、女子高生の後ろからスカート内に向かってスマートフォンのカメラを向け、撮影してしまいました。スーパーマーケットを出るなり警備員に呼び止められ、そのまま警察に連れていかれ、取り調べになりました。男性は警察官から、被害者にきちんと謝りたいのであれば、弁護士に相談するべきだと言われたため、弊所を訪れたのでした。
02.弁護活動の流れ
男性には前科がありませんでした。前科が無いうえで盗撮事件を起こすと、よほど悪質でない限り、略式裁判のうえで罰金刑になります。略式裁判とは、よくドラマで見るような裁判を行わず、検察官の提出した書類をもとに、通知で本人に処分を下す手続きです。
とはいえ、略式裁判であっても有罪の判決になりますし、罰金刑を課されれば、前科もついてしまいます。男性は前科が付くことを避けてほしいという気持ちもある一方、まず被害者の方に誠意をもって謝罪したいという気持ちもありました。
そこで、被害者の方との示談交渉をすることが、最重要の弁護活動となりました。盗撮事件の多くは、弁護人を通じて被害者の方に謝罪の意思を伝え、謝罪金を受け取ってもらい、盗撮事件のことを許してもらえば、示談成立ということで、不起訴になります。不起訴になれば、裁判になることも無いですし、罰金刑にもなりません。
通例、検察官に示談の取次ぎをお願いし、相手の方が連絡を許してくれることで、示談交渉は始まります。本件では、被害者の方が女子高生だったため、女子高生のお父様とお話をすることになりました。
私が担当している示談交渉では、必ず先に謝罪の意思を示し、謝罪金を受け取ってもらえるようお願いしたうえで、このままだと加害者が起訴される点や、合意書(示談書)を作成させてもらいたい点などを順次お話していきます。また、加害者が被害者に接触しないことや被害現場近くに立ち入らないことを誓約していることをお伝えするなどして、少しでも被害者の方に安心してもらうというケアも行います。
しかし、どんなに細心の注意を払ってお話をしても、初めのうちは、保護者の方(特にお父様)が怒りを顕わにされる場合は多々あります。本件では、起訴されてもいいと思っているということをはっきりと言われてしまうと同時に、もっと誠意を見せて欲しいということを言われ、何度もお父様と当方との間で、電話のやりとりをしました。
特に、お父様が心配されていたのは、取った写真が現存していて、流失しないかといった点や、加害者が被害者に今後接触しないかといった点でした。もちろん、これはどのような親御様であっても気になさることでしょう。しかし、お父様は、スマートフォンのクラウド上に写真があがっていないかということや、SNSを通じて、加害者が被害者を詮索しないかなど、具体的な状況を一つ一つ想定しておられ、その心配は人一倍お強いものでした。
ですので、それらのご心配に一つ一つ誠意をもって確認、誓約をさせて頂き、二度と危害を加えないことをしっかりと納得して頂くことが課題になりました。最終的にそういった確認や誓約の内容を、示談書にまとめることになります。お父様のご指摘があれば、その都度依頼者に持ち帰り、お父様に納得してもらえるよう、誓約内容や示談書の表現を検討しました。
03.弁護士からのコメント
こうして、じっくりと協議の時間をかけた末、示談書が完成するとともに、被害者のご家族には謝罪金を受け取っていただき、起訴にしなくともよいというお言葉も頂くことができました。男性は不起訴となり、被害者の方に改めてお詫びの気持ちと感謝を述べ、新たな生活を過ごしています。
本件のようなお父様のご心配は、一般的な事案よりも複雑なものでしたが、現代の技術や社会をふまえれば、もっともなものとも言えます。そういった細やかなご指摘もしっかりと検討し、ケアをすることが、加害者の誠意と謝罪の気持ちを理解して頂くことに必要不可欠なことであることを学んだ事件でもありました。 -
盗撮事件で、被害者様との長期に及ぶ示談交渉を経て不起訴となった事案
- 罪名:盗撮(迷惑防止条例違反)
- 最終処分:不起訴
- 依頼者:本人
- 解決までの期間:5か月
01.事件発覚からご依頼まで
本件は、駅のエスカレーターにおいて前に立っていた女性のスカート内をスマートフォンのカメラで撮影したという、盗撮の事件です。
盗撮は初犯であれば罰金刑となるのが一般的ですが、罰金刑でも前科として残ります。
前科を残さないために、不起訴処分となるように弁護してほしいという依頼でした。02.弁護活動の流れ
盗撮事件において行う弁護活動は多岐にわたりますが、最も重要なのは示談交渉です。示談が成立して被害者様からお許しを頂ければ、まず不起訴処分となるのが一般だからです。
本件では被害者様が未成年でいらっしゃったため、その保護者様とお話をさせていただくことになりした。
弁護士から連絡の上でお話を伺ったところ、事件についてはもちろん許せない気持ちもあるが、かといって金銭的な被害が生じたわけでもないので、そういった意味でお金は受け取れないというお答えでした。
弁護士としては被害者様のお気持ちを第一に尊重するのが当然ですから、そこではそれ以上お話はせず、時間をおいて再度ご連絡させていただくお約束だけ頂きました。
その後も、2~3週間ほどの期間を空けつつ何度かお話をさせていただき、その度に本人の反省と慰謝の気持ちが強いことや、事件に関する様々な事情等も説明して、お気持ちが変わるのを待ちました。
その間、検察官からは「示談は不成立とみなして罰金で処分をしたい」との話が何度もありましたが、都度、弁護士から「被害者様としてもまだ示談をなさるか悩んでいるのであり、不成立となったわけではない。そのような状態で処分をすることは示談への道を閉ざすことになり、それは被害者様にとってもよくないことある。」旨の申入れをし、なんとか処分を踏みとどまってもらっていました。
その後、最終的には被害者様にご理解、ご納得を頂き、示談が成立するに至りました。最初の示談申入れから4か月ほど経っていました。
そして、その示談結果を検察官に報告したところ、無事に不起訴処分となりました。03.弁護士からのコメント
示談においては被害者様のお気持ちを尊重するのが一番です。ですので、決して無理強いはしません。ですが、時間が経つにつれて被害者様のお気持ちが変わることも少なくないため、弁護士としてはご了承を頂ける限りで、時間をおいて再度お話をさせていただき、交渉を継続します。
本件も、当初の被害者様のお気持ちは大分固く、示談は難しいようにも思われましたが、粘り強く交渉を継続することが結果につながりました。
弊所では、すべての案件において、最後まで諦めずに粘り強い交渉をさせていただきます。 -
受験直前の女子高校生に対する盗撮事例
- 罪名:迷惑行為防止条例違反
- 最終処分:不起訴
- 依頼者:ご本人
- 解決までの期間:約5か月
01.事件発覚からご依頼まで
相談者は会社でのストレスを盗撮行為で紛らわしていました。
ある日、電車内で女子高校生へ盗撮を行ったときに、他の乗客に見つかり、そのまま警察へ連行されてしまいました。
相談者が素直に犯行を認めたため、幸いにも逮捕には至りませんでした。
その後、被害者の方へのお詫びと、弁護活動の依頼のため、当事務所に相談に来られた案件です。
02.弁護活動の流れ
盗撮事件のように被害者のいる事案においては、被害者に誠心誠意謝罪の意思を伝え、示談に応じていただくのが弁護活動として最も重要です。
本件でも検察官を通じて、被害者側に連絡を行いました。
しかし、被害者側からは、被害者本人は受験生であり、これ以上気持ちを乱すようなことはさせたくないということで、示談を断られてしまいました。
被害者側から示談を断れることもよくありますので、このような状況を踏まえ、諦めることなく検察官と交渉を続けることにしました。
被害者との示談が成立しなくとも不起訴にならないか検察官と交渉を続けましたが、なかなか良い返事はもらえませんでした。
そこで、少しでも被害者側に誠意が伝わるように、相談者には二度と盗撮などしないように、専門のクリニックの治療を受けてもらうことにしました。
また、被害者に脅威を与えないように、また安心していただくよう、使用する電車も変えるという対応も行いました。
このような相談者の対応を、検察官を通じて被害者の保護者に伝えていただきました。
そして、相談者の対応を誠意として受け取っていただき、被害者側に負担をかけない形での示談ということであれば示談に応じていただけることになりました。
最終的には、被害者側とは会わずに示談書のやり取りのみで完結する方法にて、示談を行うことができました。
03.弁護士からのコメント
本件は、一度被害者側から示談を断られてしまったという経緯がありましたが、その後の相談者の対応を検討し、被害者側の立場を尊重し、受け入れやすい形での示談方法を探ったことで、解決の糸口を掴んだ事案です。
一度断られたとしても諦めずに交渉と示談方法を探っていけたことは、多数の同種事例を扱った経験とノウハウがあってこそです。
それが不起訴という結果に結びついたのも本当によかったと思います。
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上半身の盗撮事件
- 罪名:迷惑行為防止条例違反
- 最終処分:不起訴
- 依頼者:ー
- 解決までの期間:ー
01.事件発覚からご依頼まで
盗撮事件の場合、スカートの中など衣服で隠れた場所を撮ることが違法なのは明らかです。
では服越しに撮影した場合はどうかというと、臀部(お尻)を、ズボンの上から長時間執拗に撮影した場合にも、処罰されることは判例上認められています。
「卑わいな言動」という規定で処罰されることになります。
しかし本件では、女性の顔を含む上半身が盗撮されました。
一般的な取り扱いで言えば、服の上からの撮影でも、警察は「胸元やスカートの中など、服の中を取ろうとした」ということで、処罰しようと取り調べを行います。
ただ、純粋に「好みだったので顔を撮影したかった」という場合、現行の条例処罰できるかというと、かなり微妙なところなのです。
当初は、依頼者も、本件についてそもそも処罰される行為なのか、裁判で争っても良いとの考えを示しました。
02.弁護活動の流れ
弁護人としても、依頼者がそのつもりであれば、とことん争いたいと考えます。
しかし、現実問題として裁判で争えば、相当の労力と時間が必要となります。
半年程度はかかってもおかしくないですし、定期的に裁判所にも出頭しなければなりません。
また、仮に裁判で無罪が取れたとしても、マスコミなどで取り上げられることにより、返って依頼者の権利が害されることになります。
「無罪を取れば勝ちなのか」という難しい問題です。
そもそも、無断で知らない人を撮影することは、道徳的に非難されておかしくない行為ということもあります。
弁護人としては、こういった点を踏まえ、依頼者とよく協議しました。
その結果、最終的には、被害者側と示談することにより、不起訴処分となりました。
03.弁護士からのコメント
被害者も、下着の中を撮られたというケースと異なり、上半身だけであれば、そこまで処罰感情が強くないことが多いと言えます。
いずれにせよ、しっかりと反省を示したことで、スムーズに示談ができました。
弁護士としては、無罪判決を勝ち取りたい気持ちもありますが、依頼者の利益を考えたときには、これが一番の結果だろうと考えています。
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カメラ設置型の盗撮事件即時の自首が功を奏して、不起訴とすることができた事例
- 罪名:迷惑行為防止条例、軽犯罪法、住居侵入罪
- 最終処分:不起訴
- 依頼者:ご本人
- 解決までの期間:約5ヶ月
01.事件発覚からご依頼まで
盗撮には、自分で直接行うものと、カメラをトイレ等に設置して行うものとがあります。特に設置型の盗撮は、悪質性が高いということで、発覚すると逮捕まで行くケースが多く認められます。今回は、盗撮のカメラを設置した方からのご相談です。
「某大手ファストフード店のトイレにカメラを設置して盗撮してしまった。その後、数分で怖くなって、カメラを回収して、帰ろうとしたら、既にカメラがなくなっていた。本当に、大きな間違いをしてしまった。今からでも、自首したい、被害者の方には、謝罪して償いたい。」
このようなご相談をご本人から受けました。もはや一時の猶予もありません。警察が独自に動いて、事件が発覚すれば、逮捕勾留はもとより、マスコミ等への報道もなされるからです。
02.弁護活動の流れ
ご相談を受けて、その日のうちに警察に連絡を取り、即時に動きました。
相談を午前に受けて、その午後には、管轄の警察署に出頭しました。
本件では幸いなことに、被害届は警察に出されていませんでした。ただ、逆に言えば、被害者との示談という一番重要な弁護活動ができないということです。そこで、示談に匹敵する、様々な弁護活動を行う必要があります。
まず、早期に自首したというのは、弁護活動として非常に大きな意味を持ちます。自ら申告するというのは、反省の気持ち、後悔の気持ちを強く推認させるものといえるからです。これが本件での判断ポイントの大きな1つです。
さらにこの方は、今後、二度と同じことを繰り返さないためにと、再犯防止のためのカウンセラーに通ってもらいました。これも非常に重要な点です。検事は、不起訴にした際には、再犯を犯さないかを非常に懸念しますので、再犯を決して起こさないと疎明する必要があります。
最後は、罰金相当額の贖罪寄付(犯罪被害者のための寄付)を行いました。
自ら罰金相当額の痛みを受けることで、反省の気持ちを形で示したのですね。
03.弁護士からのコメント
結果だけ見ると、逮捕もされず、非常にスムーズに不起訴を獲得できたので、簡単に感じるかもしれません。
しかし、設置型の盗撮に対する処分は、通常非常に厳しいものがあります。罪名も、迷惑行為防止条例のみではなく、軽犯罪法違反や住居侵入罪が問題になることもあります。その場合、盗撮された人が被害者であるのはもちろんですが、建物の管理者などとも、示談を行う必要が出てきます。それだけ弁護活動も難しくなるのです。
今回は、早期に、出頭、カウンセリングを行い、それに、贖罪寄付を受け入れるという潔さが解決のポイントとなりました。