温泉施設に正当な理由なく侵入したとして、建造物侵入容疑で男性が逮捕されたとの報道!?

1 報道の概要

北海道札幌市手稲区に住む自称・アルバイト従業員の男性が、2021年5月4日、手稲区にある温泉施設に正当な理由なく侵入した建造物侵入の現行犯で逮捕されました。

警察によりますと、当時、男性が男湯の脱衣場で不審な動きをしているのを従業員が見つけ、警察に「盗撮しているような男がいる」などと通報。

駆け付けた警察官が、男性が小型カメラ内蔵の腕時計を持っているのを確認し逮捕しました。

男性は、「盗撮目的だった」と供述しているようです。

 

2 建造物侵入罪の刑事処分

建造物侵入罪は、正当な理由がないのに人の看守する建造物に侵入した場合に成立します。

法定刑は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。今回は、盗撮目的で建物(脱衣場)に入ったということで建造物侵入罪が成立することになります。

この場合、10万円の罰金刑になる可能性が高いと思われます。

他方、もし盗撮行為まで行っていた場合は、北海道迷惑行為防止条例違反にも該当することになりますが、両者は、手段と目的の関係にあるため、牽連犯として、重い方の条例違反によって処罰されることになります。

通常であれば、30万から50万円程度の罰金になると思われます。ただし、同種の前科や前歴があったり、余罪多数など情状が悪質であれば、正式裁判により懲役刑となる可能性もあります。

罰金刑や懲役刑を受けた場合、前科として記録に残りますので、今後も社会生活を続けていくためには、やはり前科はつかない方が望ましいことと思います。

 

3 弁護活動

弊所では、このような迷惑行為防止条例違反のケースで、出来る限り刑事処分等を軽くするためのお手伝いをさせていただいております。

このような事件では、基本的に、被害者との示談が重要です。また、示談と言っても、単純に民事上の解決をするのではなく、被害届を取り下げたり、「刑事処分を求めない」といった示談書を取り交わすなど、刑事処分を軽くするための対応が必要です。また、被害者との交渉が満足にいかない場合などは、検察官との交渉が重要になることもあります。

特に、逮捕された場合には、10日(延長された場合は20日)の間に処分が決まりますので、その間に示談を行わなければなりません。

本件では、建造物侵入については、温泉施設の管理権者(運営者)が被害者で、条例違反については、盗撮された方となり、被害者が別ですので、それぞれに対して示談を申し出る必要があります。

被害者との示談にあたっては、とにかく誠意をもって謝罪の意思をお伝えすることが重要です。また、事件場所に近寄らないなど、生活圏行動圏の変更を行い、安心してもらう必要もあります。

被害者と示談が成立し、被害者として刑事処分を望まないといった意見をもらえれば、通常は、不起訴(起訴猶予)になることがほとんどです。同種前科があっても不起訴になったケースもあります。

お早めにご相談ください。

 

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執筆者情報

石崎 冬貴Fuyuki Ishizaki

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士